SPPB検査方法

簡易身体能力バッテリー(SPPB)の3つのサブテストの実施手順と採点基準を解説します。 検査は通常、静的バランス → 歩行速度 → 椅子立ち上がりの順に実施します。 手動では約10〜15分、AndanteFit使用時は3分以内に完了します。 SPPBはもともとGuralnikらによって開発され、加齢に関する疫学・臨床研究において広く用いられてきました。現在では臨床現場および研究において、下肢機能の標準化された評価指標として一般的に使用されています。

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静的バランス検査

3段階の立位姿勢におけるバランス保持能力を評価します。体力消耗が最も少ないため最初に実施し、後続検査で要注意の対象者を把握します。

評価領域:静的姿勢制御、転倒リスク、初期機能低下の検出。

準備

  • 1安全のため壁や安定した物の近くで実施し、靴を履いたまま行います。
  • 2検査者は計時前に各姿勢をデモンストレーションします。
  • 3両腕は体側に自然に垂らします。計時中は検査者が手を支えません。

実施方法

  • 1通常姿勢(両足並べ):両足の内側を揃えて立ちます。10秒保持が目標。10秒未満なら0点、検査終了。
  • 2半タンデム姿勢:片方の足の内側を、もう一方の足の母趾の横に付けます。10秒保持が目標。10秒未満なら1点、検査終了。
  • 3タンデム姿勢:片方の足のかかとを、もう一方の足のつま先の直前に付けます。最大10秒計測。

バランスを崩した時点、または検査者が終了した時点で計測を終了します。

採点基準
0点通常姿勢10秒保持不可
1点通常姿勢≥10秒;半タンデム<10秒
2点半タンデム≥10秒;タンデム<3秒
3点タンデム姿勢 3〜9.99秒
4点タンデム姿勢 ≥10秒
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歩行速度検査

歩行速度は死亡・認知機能低下・入院・機能障害など、様々な健康アウトカムを予測する強力な単一指標です。4m歩行がSPPBの標準距離ですが、一部のプロトコルでは6m変法が使用されます。

評価領域:機能的移動能力、全身健康状態、フレイル・サルコペニアリスク。

準備

  • 1平坦で障害物のない床に、スタートラインとゴールラインを4m間隔でマークします。
  • 2普段から歩行補助具(杖、歩行器)を使用する場合はそのまま使用し、記録します。
  • 3対象者はスタートラインの後ろで静止した状態から開始します。

実施方法

  • 1「いつも通りの速さで歩いてください」と指示します。
  • 2対象者が歩き始めた瞬間に計測を開始します。
  • 3先行する足がゴールラインを越えた瞬間に計測を終了します。
  • 42試行実施し、速い記録を採点に使用します。

歩行不可または身体的補助が必要な場合は0点とします。

採点基準(4m歩行)
0点完了不可
1点≥8.70秒(<0.46 m/s)
2点6.21〜8.70秒(0.46〜0.64 m/s)
3点4.82〜6.20秒(0.64〜0.83 m/s)
4点<4.82秒(>0.83 m/s)
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椅子立ち上がり検査

5回椅子立ち上がり検査は下肢筋力・筋パワー・機能的神経筋制御能力を評価します。体力消耗が最も大きいため、最後に実施します。

評価領域:下肢筋力・筋パワー、椅子からの立ち上がりなど日常生活動作。

準備

  • 1座面高さ約43〜45cmの背もたれ付き固めの椅子を使用します(肘かけなしが推奨)。
  • 2腕を胸の前で交差して座り、足の裏は床に完全につけます。
  • 3検査前に腕を使わずに1回立ち上がり、動作が可能か確認します。

実施方法

  • 1「腕を使わず、できるだけ速く安全に5回続けて立ち座りしてください」と案内します。
  • 21回目の立ち上がりを開始した瞬間に測定を開始します。
  • 35回目の立ち上がりで完全に立位になった時点で測定を終了します。
  • 4腕を使用した場合、または60秒を超えた場合は0点とします。
採点基準(5回立ち上がり)
0点完了不可;腕の使用;>60秒
1点≥16.70秒
2点13.70〜16.69秒
3点11.20〜13.69秒
4点<11.20秒

SPPB総スコア

3つのサブテストのスコア(各0〜4点)を合計し、0〜12点の総スコアを算出します。

総スコア機能レベル臨床的解釈
0 – 6重度の機能低下リスクが高い群。予防・リハビリ介入の優先対象。
7 – 9中等度の機能低下中間リスク群。運動介入の効果が最も大きく現れる。
10 – 12正常〜良好リスクが低い群。初期機能低下の検出のため縦断モニタリングに活用。

スコアが1点以上変化した場合、臨床的に意味のある変化とみなせます。総スコアとともにサブテスト別のスコアプロファイルを解釈することで、個別化された介入計画の立案に役立ちます。

AndanteFitでSPPB検査を標準化

手動によるSPPB検査には、ストップウォッチ、床面の距離マーキング、そして検査者・検査セッション間での一貫した手技が必要です。実際には、手動計測や指示内容の違いにより検査者間変動性(inter-rater variability)が生じることがあり、大規模スクリーニングや多施設研究では特に顕著です。

AndanteFitはLiDARベースの歩行速度測定、動作追跡による立ち上がり計時、精密センサープラットフォームのバランス時間測定により、手動SPPB検査を自動化します。 3つのサブテストが3分以内に完了し、毎回の検査に専門スタッフは不要です。

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